当ファンドが注目するトレンド

【海外】次々と新領域が生まれているESG関連領域

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ESGに関連した事業領域の多くは、過去10年、世界中で新たな市場の創出につながっています。
化石燃料からの切り替えが進むバイオ燃料というカテゴリーは、この十数年で新たに生まれており、今後10年で更に倍の市場へと伸びていく。
食肉用の牛は、1Kgを生産するために10Kgもの穀物を必要とし、環境に多大な影響を生むことから、大豆・人工細胞培養など、様々な代替肉市場が突如として出現し、現在ではメジャーなファストフードチェーンが定常的に代替肉メニューを供給するまでになっている。
再生可能エネルギー全体へのシフトも、この10年で目覚ましいものがある。

このように、海外では、ESGが契機となり、多くの新産業が産み出されてきており、活気に溢れています。

 

【国内】企業の多くは「守りのESG」への対応に追われている

一方、国内に目を向けると、上場企業を中心として、「ESGに対応しなければならない」という、守りの話、受け身の話が多くなります。

■東証プライム市場に残るためにはサプライチェーン全体の炭素排出量可視化を2年以内に実行しなければならない
■プラスティックを扱う企業は、有料化・再利用の義務が課せられ、罰則規定も設けられる
■ESG開示の義務化の波が海外から迫っており、各種報告書の制作にコンサルが駆り出されている

実際、炭素排出量可視化がプライム市場上場企業に課せられた2022年の春先は、大手上場企業の役員会でも「そもそも、炭素排出量の計測って、うちの会社でやっているのかね?」と、経営陣から疑問や不安が飛び交うなど、とかく「ESG」は「守り」であるという風潮が、国内では強くあります。

ESGで海外は盛り上がり国内は守りになる構造

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この国内外のESGに関する違いは、上記の図にあるような構造によってもたらされています。

①②機関投資家の強い圧力を受けたグローバル企業は、スタートアップ・技術力の高い企業と協働で、ESGに掲げられるテーマについて、先進的な取り組みを行い、事例と考え方のフレームを独自に蓄積する

③こうした実例を抱えるグローバル企業は、「炭素排出量の可視化」「森林カーボンクレジットの計測方法」といった国際的な枠組みを決める場に、満を持して自分たちの経験・知識を提供し、主導権を握ることを目指す

④こうして、民間主導で事例を持ち寄り、コンソーシアム・ワーキンググループで固まっていく国際的な枠組みは、機関投資家の後押しも相まって、海外の多くの企業が、遵守せざるをえない影響力を発揮する

⑤その結果、本ページの冒頭にあったような、0からスタートして、右肩上がりで成長する市場が出現する

⑥一方、これらの動きは、COP26などの場面で各国首脳の賛同を得て国際的にオーソライズされてから数ヶ月も遅れ、国内官庁や関係期間で検討が始まる

⑦そして、「炭素排出量を測定しなければプライム市場から陥落する」といった強制力が発動し、国内企業は慌てて対応を迫られる

⑧こうして、グローバル企業が手ぐすねを引いて準備したソリューションが、国内企業に次々と購入・契約締結され、グローバル企業が潤っていく

これが、当ファンドが実際に国内外で活動を進めていくうちに、明らかになってきた構造となります。

市場盛り上がりと共に急伸する海外のESGベンチャー投資

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こうして、海外を中心に圧倒的な成長を誇るESGに関する各分野。これに伴って、世界的にESG関連のテーマでのベンチャーキャピタルによる投資が、右肩上がりで伸びています。

2021年のデータでは、気候変動関連のVC投資だけ切り取っても、その総額は年間37億ドル。これは、全世界でのVC投資の総額の、約10%を占めるまで伸びており、更に急激な拡大が続いています。

当ファンドの戦略

世界のルールメークに参画できるベンチャーへ出資する

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当ファンドの戦略は、こうした巨大マーケット形成の上流に位置する「グローバル企業と共に、先行事例・ビジネスモデルを構築していくことができるベンチャー」に対して出資を行い、そのパートナーとしてグローバル企業だけではなく、当ファンドLP出資各社を初めとした国内有力企業との協業を推進し、一気にベンチャー企業の成長を狙っていくというものになります。

実際に、2021年の投資開始からすでに合計16社に対してICJ2号ファンドとして投資を重ねていくと、このポジションを取れる国内の企業が、想像より遥かに多く、なおかつ海外企業に勝てるだけのアイデアや技術を保有していることが分かってきました。

こうした企業こそが、当ファンドの中心的投資先となります。

Zeroboard社が体現した「海外のルールメークに先かげた存在」である強み

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この戦略を体現した一社が、2021年夏にMBOで独立し、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで成長している、炭素排出量可視化SaaSを展開する、ゼロボード社です。

ゼロボード社の経営者である渡慶次氏は、遡ること2020年から、炭素排出量の把握・管理というのは、金融の世界に非常に近いモデルであり、ルールメークの場への参画と、ルール化される前の最新の動向把握が不可欠だと気付きました。

そして、「最新のルールメークに準拠し、アップデートし続けている」というお墨付きを得たゼロボード社は、炭素排出量のプライム市場における対応義務を見越したタイミングで事業の展開を行い、国内スタートアップの中でも、屈指の成長を1年で遂げることになりました。


以上が、当ファンドが掲げている、運営の基本戦略となります